カリグラフィを描くには、ツールバーから カリグラフィツールを選択するか、ショートカットキーのCtrl+F6(またはC)でカリグラフィツールを選択します。
カリグラフィとは西欧式の書道で、一定の幅を持つカリグラフィ用のペンを使った芸術のことです。文字だけに限らず、飾り枠などを描いたりもします。このカリグラフィを描くためのツールが、カリグラフィツールです。「ヘルプ(H) > チュートリアル > Inkscape:カリグラフィ(C)」にカリグラフィに関する説明が載っています。
ヘルプと重複する部分もありますが、ここでは主にツールコントロールバーでの設定項目について説明します。
カリグラフィツールは設定項目が多く、ウィンドウサイズによってはツールコントロールバーに表示しきない項目を「>>」として表示することもあります。このように表示されない項目がある場合には、「>>」の部分をクリックすれば、隠れている項目を設定できます。
設定項目が多いため、「プリセット」として各項目の初期値を設定する機能があります。プリセットには、次の6種類が用意されています。トレーシングは背景の透明度により線の太さが変化するため、背景にグラデーションを置いてあります。
プロファイル名 | 描画例 |
---|---|
つけペン | |
マーカー | |
ブラシ | |
うねり | |
汚れ | |
トレーシング |
自分で設定した値に名前をつけて保存することもできます。
ここで保存したプリセットは、%APPDATA%\inkscape\preferences.xmlに保存されます。新しく名前をつけて保存したり、既存のプリセットを上書きすることのみ可能です。自作したプリセットを削除したい場合には、preferences.xmlをテキストエディタで編集する必要があります。
「幅」には、カリグラフィペンの幅をpx単位で1~100の値を指定します。
はON/OFFボタンで、ONにするとタブレット入力の筆圧を有効にします。
はON/OFFボタンで、ONにすると背景色を線の幅に反映させて、背景色が濃い色のとき太く、薄い色のとき細くします。OFFのときには、背景色の色の濃さと線の幅には関連がありません。
「幅変化」には、マウスの移動速度に応じてどのように幅を変化させるかを-100~100の値で指定します。幅変化を0にすると、マウスの移動速度による影響は受けません。0より大きい値を指定するとマウス移動が早いほど線が細くなり、0より小さい値を指定するとマウス移動が早いほど線が太くなります。初期値は10で、マウス移動が早ければほどほどに細くなるように設定されています。
幅変化10 | 幅変化100 | 幅変化-100 |
「角度」にはカリグラフィペンの角度を指定します。初期値は30°で、指定可能な値は-90°〜90°です。
はON/OFFボタンで、ONにすると入力デバイスの傾きを使用して「角度」の設定を無効にします。
「固定度」には、ペン運びの方向によりペンの角度をどうするかを指定します。指定可能な値は0〜100で、0のときペン運びの方向に合わせてペンの傾きを合わせ、100のときペン運びの方向に関わらずペンの傾きを「角度」で指定した角度に固定します。一般的には角度が固定されている方が美しいカリグラフィが描けます。初期値は90に設定されています。
固定度0 | 固定度100 |
「キャップ」には、線の両端につける盛り上がりの大きさを0.0~5.0で指定します。描画中、キャップは赤く表示されます。この値は幅に対する割合で、幅の長さの半分にこの値を掛けた数値が盛り上がりの高さになります。
0のとき両端は完全に平らとなり、1.0のとき半円、5.0のときには細長い盛り上がりが付きます。
キャップ0.0 | キャップ0.3 | キャップ0.5 | キャップ1.0 |
「震え」は横方向の震えを0〜100の範囲で指定します。0のときには震えのない滑らかな線、1のときには震えの大きいガタガタな線が描かれます。
震え0 | 震え10 | 震え30 | 震え50 | 震え100 |
「うねり」には、ペンの波状およびうねり幅を0~100の値で指定します。
「質量」には、ペンのドラッグへの反応を慣性がかかったように遅らせる値を0~100の値で指定します。
プリセットの初期値は次のとおりです。カッコ内に示す値はツールとしての初期値で、プリセットの値としては設定されません。