Inkscapeとは
Inkscapeは、オープンソースのベクタ画像エディタです。数人の開発者チームにより、GPLライセンスのもとに公開されています。
「ベクタ画像エディタ」とは、「ドローソフト」や「ドロー系」などとも呼ばれ、Adobe IllustratorやCorel Drawなどがその仲間です。一方、デジタルカメラで撮った写真などは、ラスタ画像あるいはビットマップ画像と呼ばれ(GIFやJPEGなど)、これを編集するのに適しているのが、ラスタ画像を扱う「ペイントソフト」や「レタッチソフト」と呼ばれるソフトウェアです。Adobe PhotoshopやフリーウェアのGIMPなどがあります。
Inkscapeは海外製のソフトウェアですが、メニューが日本語化されているので日本人にも親しみやすく出来ています。また、他のアプリケーションに比べ、操作が直感的にわかりやすいソフトウェアだとも言われています。実際、これまでドローソフトにはまったく縁のなかった私にも扱いやすく感じたくらいですから、初心者向きと言って良いと思います。しかしそれでいて、これからも発展の余地が大いにあるとは言え、今でも十分に高機能です。
Inkscapeが読み書きするファイルフォーマットには、W3Cによって規格を決められたSVG (standard vector format) という国際標準フォーマットが使われています。InkscapeにはXMLエディタが付属していて、XMLの一種であるSVGを直接編集することができます。従ってSVG形式を理解していれば、Inkscapeがまだ対応していない機能もXMLを書き換えて編集することができるのです。
Inkscapeの歴史
Inkscapeは現在も活発に開発が続いています。これまでの歴史を振り返ってみました。リリース内容については、目玉とされているものだけをピックアップしています。
- 2004年0.37リリース
同年内に0.38.1、0.39、0.40と続けてリリース
- 2005年0.41リリース
同年内に0.42、0.43と続けてリリース
- 2006年0.44リリース
- 2007年0.45.1リリース
- 2008年0.46リリース
- 2009年0.47リリース
- 2010年0.48リリース
- ノードツール刷新
- スプレーツール
- 2015年0.91リリース
- 定規ツール
- 2017年0.92リリース
- メッシュグラデーション
- オブジェクトダイアログを刷新
- ガイドのロック機能
- 2020年1.0リリース
- キャンバスの回転と反転機能
- オンキャンバスでオブジェクトの整列
- 分割とX線のスクリーンモード
- LPE選択ダイアログを刷新
- 新しいLPEを追加
- 2021年1.1リリース
- ようこそ画面
- コマンドパレット
- ノードツールにコピー、カット、貼り付けの編集機能
- ドックのシステムを作り直し
- 表示モードにアウトラインオーバーレイモードを追加
- 環境設定に検索窓を実装
- 2022年1.2リリース
- ページツール
- マーカーと破線の編集機能
- レイヤーとオブジェクトダイアログを統合
- スナップ設定を見直し
- LPEにタイリング追加
- 2023年1.3リリース
- シェイプビルダー
- オンキャンバスパターン編集
- パターンエディター
- ページマージン&ブリード
- ドキュメントリソースダイアログ
- フォントコレクション
- XMLエディタでの構文ハイライト
- LPEダイアログのインタフェースデザインを見直し