タイルクローン

タイルクローンとは

Inkscapeには、幾何学的にクローンを配置して作成するために「タイルクローン」 (メニューから「編集 → クローン →タイルクローンを作成」) の機能があります。

タイルクローンには、次のように多彩なオプションがあります。

  • 対称化
  • シフト
  • 拡大縮小
  • 回転
  • ぼかしと不透明度
  • トレース

オプション数が多いため、ダイアログ内ではそれぞれ個別のタブに分かれています。それぞれのオプションについての説明は後述します。指定したオプションをすべて一度リセットしたい場合には、ダイアログ左下の「リセット」ボタンをクリックします。

タイルクローンをどれだけ作成するかは、縦横に敷き詰める数、またはタイルで埋める画面サイズで指定します。「行、列」にチェックして数を指定すれば、指定した数のタイルクローンを作成します。「幅、高さ」にチェックしてサイズを指定すれば、指定された画面サイズをタイルクローンで敷き詰めます。

「保存したタイルのサイズと位置を使用」にチェックすると、現在のタイルとサイズが直前にタイルしたときと同じになるようにします。

オプションを設定して「作成」ボタンをクリックすると、タイルクローンを作成します。タイルクローンを作成すると、「削除」ボタンと「凝集を緩める」ボタンが有効になります。「削除」ボタンをクリックすると、作成したタイルクローンを削除します。このボタンが有効なのはタイルクローン作成直後のみで、一度親オブジェクトの選択を解除すると無効となります。

「凝集を緩める」ボタンを使用すると、「整列/配置」ダイアログの「配置」で を選択したのと同じ効果があります。

オプション

対象化

「対称化」タブでは、タイリングのパターンを指定します。

タイリングのパターンは、平面充填法として知られている17種類の中から選択できます。例では特に記述がない限り、「行、列」に4×4を指定した結果です。親オブジェクトのみ、背景色が濃い色で表示されています。

P1: シンプル移動
P2: 180°回転
PM: 反射
PG: 映進
CM: 反転 + 映進
PMM: 反転 + 反転
PMG: 反転 + 180°回転
PGG: 滑らか反転 + 180°回転
CMM: 反転 + 反転 + 180°回転
P4: 90°反転
P4M: 90°回転 + 45°反転、「行、列」= 4×8
P4G: 90°回転 + 90°反転、「行、列」= 2×12
P3: 120°回転、「行、列」= 4×6
P31M: 反転 + 120°回転、濃く、「行、列」= 3×18
P31M1: 反転 + 120°回転、薄く、「行、列」= 3×6
P6: 60°回転、「行、列」= 2×12
P6M: 反転 + 60°回転、「行、列」= 2×24

シフト

「シフト」タブでは、タイリング時にクローンをシフトする量を指定します。

シフト量は親となる図形のサイズに対する割合で指定します。

均等にシフト
 行ごと列ごとランダム化
水平シフト0%80%0%
垂直シフト80%0%0%
指数1.001.00 
交互にする   
指数1.3でシフト
 行ごと列ごとランダム化
水平シフト0%5%0%
垂直シフト5%0%0%
指数1.301.30 
交互にする   
指数0.8でシフト
 行ごと列ごとランダム化
水平シフト0%200%0%
垂直シフト200%0%0%
指数0.800.80 
交互にする   
ランダムにシフト
 行ごと列ごとランダム化
水平シフト0%200%20%
垂直シフト200%0%20%
指数0.800.80 
交互にする   
交互にシフト
 行ごと列ごとランダム化
水平シフト0%80%0%
垂直シフト80%0%0%
指数11 
交互にするチェックチェック 

拡大縮小

「拡大縮小」タブでは、タイリング時にクローンを拡大縮小する割合を指定します。

拡大縮小は、親となる図形のサイズに対する割合で指定しま

5%ずつ拡大
 行ごと列ごとランダム化
水平方向の拡大縮小5%0%0%
垂直方向の拡大縮小0%5%0%
交互にする   
ランダムに拡大
 行ごと列ごとランダム化
水平方向の拡大縮小5%0%20%
垂直方向の拡大縮小0%5%20%
交互にする   
交互に拡大
 行ごと列ごとランダム化
水平方向の拡大縮小50%0%0%
垂直方向の拡大縮小0%50%0%
交互にするチェックチェック 

回転

「回転」タブでは、タイリング時にクローンを回転させる角度を指定します。

10°回転
 行ごと列ごとランダム化
角度10°10°0%
交互にする   
ランダムに回転
 行ごと列ごとランダム化
角度10°10°20%
交互にする   
交互に回転
 行ごと列ごとランダム化
角度30°30°0%
交互にするチェックチェック 

ぼかしと不透明度

「ぼかしと不透明度」タブでは、タイリング時にぼかしを加えたりフェードアウトさせたりする量を指定します。

5°ぼかし
 行ごと列ごとランダム化
ぼかし5%5%0%
交互にする   
フェードアウト0%0%0%
交互にする   
ランダムにぼかし
 行ごと列ごとランダム化
ぼかし5%5%0%
交互にする   
フェードアウト0%0%0%
交互にする   
交互にぼかし
 行ごと列ごとランダム化
ぼかし30%30%0%
交互にするチェックチェック 
フェードアウト0%0%0%
交互にする   
5°フェードアウト
 行ごと列ごとランダム化
ぼかし0%0%0%
交互にする   
フェードアウト5%5%0%
交互にする   
ランダムにフェードアウト
 行ごと列ごとランダム化
ぼかし0%0%0%
交互にする   
フェードアウト5%5%0%
交互にする   
交互にフェードアウト
 行ごと列ごとランダム化
ぼかし0%0%0%
交互にする   
フェードアウト30%30%0%
交互にするチェックチェック 

「色」タブでは、タイリング時に色をシフトさせる割合を指定します。

色をシフトさせるためには、タイルクローンの親となるオブジェクトのフィルまたはストロークを 「塗りをアンセット」 に指定しておく必要があります

色相5%シフト
 行ごと列ごとランダム化
色相5%-5%0%
彩度0%0%0%
明度0%0%0%
交互にする   
初期の色0x0088aa80
色相5%をランダムシフト
 行ごと列ごとランダム化
色相5%-5%20%
彩度0%0%0%
明度0%0%0%
交互にする   
初期の色0x0088aa80
色相10%を交互にシフト
 行ごと列ごとランダム化
色相10%-10%0%
彩度0%0%0%
明度0%0%0%
交互にするチェックチェック 
初期の色0x0088aa80
彩度20%シフト
 行ごと列ごとランダム化
色相0%0%0%
彩度20%-20%0%
明度0%0%0%
交互にする   
初期の色0x0088aa80
彩度20%をランダムシフト
 行ごと列ごとランダム化
色相0%0%0%
彩度20%-20%20%
明度0%0%0%
交互にする   
初期の色0x0088aa80
彩度80%を交互にシフト
 行ごと列ごとランダム化
色相0%0%0%
彩度80%-80%0%
明度0%0%0%
交互にするチェックチェック 
初期の色0x0088aa80
明度3%シフト
 行ごと列ごとランダム化
色相0%0%0%
彩度0%0%0%
明度3%-3%0%
交互にする   
初期の色0x0088aa80
明度3%をランダムシフト
 行ごと列ごとランダム化
色相0%0%0%
彩度0%0%0%
明度3%-3%20%
交互にする   
初期の色0x0088aa80
明度20%を交互にシフト
 行ごと列ごとランダム化
色相0%0%0%
彩度0%0%0%
明度20%-20%0%
交互にするチェックチェック 
初期の色0x0088aa80

トレース

「トレース」タブでは、タイリング時に下にあるオブジェクトをクローンでトレースするための設定を行います。

トレースの対称とできるのは、ビットマップを含むすべてのオブジェクトです。

例として、次のビットマップ画像の上に正方形をタイリングしてみます。

トレースの指定項目は3つあります。「描画から抽出するもの」は、下の画像の何を抽出してクローンに反映させるかという「入力」を指定します。

「抽出値の補正」には、入力値をどのように加工してクローンに適用するかを指定します。「ガンマ補正」には、ガンマ補正のためのガンマ値を指定します。ガンマ値は、0より大きい値のとき中間値の補正を増大方向にシフト、0より小さい値のとき中間値の補正を減少方向へシフトします。「ランダム化」に0より大きい値を指定すると、描画から抽出した入力値にランダム性を加えます。「反転」をチェックすると、入力値を反転させます。

「抽出値の適用対象」には、クローンのどの属性として入力値を反映させるかを指定します。「存在」、「色」、「サイズ」、「不透明度」の中から選択し、複数選択することができます。

タイルクローンのトレース機能を使用するためには、「トレース」タブで「タイルの下側の描画をトレースする」にチェックしておく必要があります。

クローンに色を適用するためには、タイルクローンの親となるオブジェクトのフィルまたはストロークを 「塗りをアンセット」 に指定しておく必要があります。親オブジェクトの塗りをアンセットしてあっても、色指定で指定したA(不透明度)は有効です。

色 → 色
描画から抽出するもの
抽出値の補正ガンマ補正: 0、ランダム化: 0%
抽出値の適用対称
色 → 色 (親オブジェクトのA=160)
描画から抽出するもの
抽出値の補正ガンマ補正: 0、ランダム化: 0%
抽出値の適用対称
彩度 → 色+サイズ
描画から抽出するもの彩度
抽出値の補正ガンマ補正: 0、ランダム化: 0%
抽出値の適用対称色、サイズ
色 → 色+存在
描画から抽出するもの
抽出値の補正ガンマ補正: 0、ランダム化: 0%
抽出値の適用対称色、存在
色 → 色+不透明度
描画から抽出するもの
抽出値の補正ガンマ補正: 0、ランダム化: 0%
抽出値の適用対称色、不透明度
色 → 色+サイズ
描画から抽出するもの
抽出値の補正ガンマ補正: 0、ランダム化: 0%
抽出値の適用対称色、サイズ
色+ランダム → 色
描画から抽出するもの
抽出値の補正ガンマ補正: 0、ランダム化: 10%
抽出値の適用対称
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