XMLエディタとは
Inkscapeには、SVGを直接編集するためにXMLエディタが用意されています。XMLエディタ(メニューから「編集 → XMLエディタ」、または Shift+Ctrl+X)を使えば、SVGファイルを直接編集することにより、Inkscapeではまだサポートしていない編集を行うことができます。
現在、InkscapeでサポートしているのはSVG 1.1の規格です。規格の詳細は、「リンク」の 「SVG仕様」を参照してください。
操作方法
XMLエディタには、3つのペインがあります。左側の構造一覧ではXMLの構造を要素ノードの階層として表示し、その中である要素ノードを選択すると、属性一覧(右側の上のペイン)に属性と値の一覧を表示します。一覧表示の中から属性を選択すると、編集欄(右下のペイン)で属性名や値を編集できます。
構造一覧では、構造が折畳んで表示されます。
子階層が折り畳まれています。クリックすると子階層を表示します。 | |||
子階層が表示されています。クリックすると子階層の表示を折り畳みます。 |
XMLの中の情報には、Inkscapeが内部的に管理する情報と、ユーザが作成したオブジェクトに関する情報の2種類があります。オブジェクト情報で使用されるidは、オブジェクトのプロパティで表示される「ID」です。
属性一覧で属性を選択し、編集欄で属性名を変更して設定(「設定」ボタンをクリック、またはCtrl+Enter)すると、新しい属性として追加されます。値を変更したときは、既存の属性値が更新されます。属性を削除したいときには、削除したい属性を選択してツールバーの をクリックします。ただし、そのオブジェクトに必須な属性は削除できません。
属性値の編集以外の編集は、ツールバーのアイコンを使って行います。
要素ノードを新規追加 | |
テキストノードを新規追加 | |
要素ノードをコピー | |
要素ノードを削除 | |
属性を削除 | |
ノードの階層をひとつ上に | |
ノードの階層をひとつ下に | |
ノードの位置を上に移動 | |
ノードの位置を下に移動 |
使用例: テキストを装飾する
Inkscapeでは、まだテキストを装飾する機能は実装されていませんし、装飾されたテキストを表示することもできません。しかし、XMLエディタを使えば、SVG表示可能な他のプログラム(たとえばOperaなど)で表示できるテキスト装飾を施すことができます。
ここでは、次のテキストに装飾を施してみることにします。
XMLエディタでテキストを選択
XMLエディタを開き(Shift+Ctrl+X)、テキストを選択します。こうすると、XMLエディタの構造一覧のペインで、次のようにそのテキストの要素ノードが選択されます。
属性を追加
text-decoration属性を追加し、値に line-throughと入力すると打ち消し線のついたテキストになります。
text-decorationには装飾の種類を指定しますが、他にも次のようにいくつか指定可能な値があります。
- underline (下線)
- overline (上線)
- line-through (打ち消し線)
- blink (点滅)
装飾の結果
変更してもInkscape上の表示は変わりませんが、SVGのテキスト装飾を表示できるプログラムで表示すると、次のように装飾されたテキストが表示されます。
(打ち消し線)
(下線)